国公立医学部の学費と内訳!学費以外に必要な費用や奨学金なども解説

国公立医学部の学費と内訳!学費以外に必要な費用や奨学金なども解説

私立大学医学部は比較的学費が高く設定されていますが、国立大学医学部ではどのぐらいの費用が必要なのでしょうか。
本記事では、国立大学医学部における学費の詳細とその内訳について解説していきます。
また、私立大学医学部との比較や大学間における違いについても紹介しています。
さらに、学費以外に必要な経費や利用可能な奨学金制度、学費準備の方法についてもまとめているので、国立大学の医学部受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

国立大学医学部の学費と内訳

まず初めに、国立大学医学部の学費とその内訳についてご紹介していきます。

国立大学医学部の学費が安い理由

国公立大学医学部において学費が安く設定されている理由は、国公立大学が税金などの補助を受けており、利益を得ることが一番の目標とされていないためです。
一般的に医学部では、高度な施設や設備が必要とされ、その分費用も掛かります。しかし、国公立大学であれば、これらの設備・施設を補助金や公的資金を使って整備することができるため、学生からの学費によって多く回収しなくても運営できる仕組みとなっています。
したがって、国公立大学における医学部では、私立大学の医学部と比べて比較的学費が安く設定されているのです。

私立医学部との比較

一方で、私立大学は基本的に私的資金や寄付によって運営されています。
また、利益を追求する傾向にあるため、学費が国公立大学と比べ高い傾向にあります。
さらに、国公立大学と違い、公的資金の補助を受けにくく、設備や施設の費用を学費として回収する必要があります。
国公立医学部における学費は年間で約350万円ですが、私立医学部は約3,000万円以上が必要となり10倍ほどの差があることが分かります。
私立大学では国公立大学と比べて補助金が少ないため、その差額が学生の負担となってしまい、国立と私立の顕著な差につながっています。

国立大学間の学費の違い

続いて、国立大学間における学費を比較し、その違いについてご紹介していきます。

標準額を採用している大学

国公立大学における学費は、標準額として文部科学省によって一定額が定められています。
その標準額は、入学金が282,000円、授業料が535,800円です。
この標準額を採用している大学は、北海道大学、旭川医科大学、弘前大学、秋田大学、山形大学、東北大学、群馬大学、筑波大学、東京大学、山梨大学、信州大学、新潟大学、富山大学、金沢大学、福井大学、浜松医科大学、岐阜大学、名古屋大学、三重大学、滋賀医科大学、京都大学、神戸大学、大阪大学、鳥取大学、岡山大学、島根大学、広島大学、山口大学、徳島大学、愛媛大学、高知大学、香川大学、九州大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学の全40校となっています。
上記からも分かるように、医学部の設置されているほとんどの国公立大学において標準額が採用されています。

独自の学費設定をしている大学

その一方で、文部科学省によって設定されている標準額を採用せず、独自の学費を設定している大学もいくつかあります。

大学名 1年間の学費
千葉大学 4,139,760円
東京医科歯科大学 4,139,760円
防衛医科大学校 指定の医療機関に勤務で0円

千葉大学と東京医科歯科大学は2020年度4月より学費を引き上げました。また、防衛医科大学校は国公立大学ではありませんが、指定の医療機関に勤めることによって学費が0円となります。

国立大学医学部の学費以外に必要な費用

ここまで、国公立大学の医学部における学費について紹介してきました。
ここからは、学費以外に必要とされる費用について紹介していきたいと思います。

教科書代・実習費用

学費以外の費用として、教科書代・実習費用が挙げられます。教科書代としては、学校の授業で使う参考書や医学書に加え、CBTや国家試験対策に関する費用も含んで、6年間でおおよそ10〜20万程度とされています。
教科が多いため、必然的に参考書も増えますが、低学年の基礎医学などの教科書は先輩から譲り受ける人が多いようです。また、高学年で受験する国家試験の模試の受験料は1回あたり5000円程度となっています。
医療機関や福祉施設において実習があるのも医学ならではです。実習期間や内容は大学によって異なりますが、聴診器や白衣などの実習用具が必要となります。一例ですが、香川大学医学部における6年間の実習関連費用は約7万円となっています。

生活費(寮費・アパート代)

また、家賃や光熱費、食費などの生活費も必須です。高校までとは異なり、多くの学生が親元を離れ1人暮らしを始めます。
1人暮らしを始めると、実家暮らしをしている時は意識することのなかった生活費について痛感することになります。
まず1人暮らしの形としては、アパートや寮などがありますが、いずれにしても家賃が発生します。
また、生活するためには電気やガス、水道などが必要不可欠であり、それぞれに使用料金を支払わなければいけません。
それに加え、日々の食費も必要となります。
全国大学生活協同組合連合会によると、大学生1人暮らしにおける1か月の生活費の支出内訳は住居費が54,130円、食費が25,880円となっています。

その他の諸経費

その他の諸経費には、医学部ならではのものが多くあります。
医学部は授業の一環として臨床実習を行ったりするため、予防接種を受けたり、保険費用を支払ったりする必要があります。
また、CBTや国家試験の受験料なども必要になってきます。
CBTは医学部4年次で受験する臨床実習前の全国統一試験で、約3万円の受験料となっています。
また、医師国家試験は免許の登録も含めて約8万円を支払う必要があります。

国立大学医学部向けの奨学金制度

前項では、国公立大学医学部の学費以外に必要な費用について紹介してきましたが、他学部とは異なり、医学部ならではの費用が多くあることがわかりました。
したがって、奨学金制度を上手く活用して、少しでも負担を減らすことが大切です。ここでは、3つの奨学金制度について紹介していきたいと思います。

日本学生支援機構の奨学金

一つ目は、日本学生支援機構における奨学金制度です。
日本学生支援機構における奨学金には、給付型と貸与型(無利子の第一種、有利子の第二種)があり、給付型の奨学金を受ける対象となるためには、所得や資産などの条件を満たすことや進学した先で学ぶ志を持っていることなどが挙げられます。
給付型においては最大で75,800円/月、第一種貸与型においては最大で64,000円/月、また第二種貸与型においては最大で160,000円/月となっています。

大学独自の奨学金制度

二つ目は大学独自の奨学金制度です。
国立大学医学部向けの奨学金制度は、学生が医学部での学びを続けるために経済的な支援を提供するものです。
多くの国立大学では、独自の奨学金制度を設けており、医学生を支援するためにさまざまな形式の奨学金が存在します。
学業成績優秀者向けの奨学金、経済支援を目的とした奨学金、貸与型奨学金、特定分野の支援奨学金、地域貢献型奨学金、学外団体の奨学金があります。

地方自治体による医学生支援制度

三つ目は地方自治体による医学生支援制度です。
国立大学医学部の学生向けに、地方自治体が提供する医学生支援制度は、主に医師不足が深刻な地域で医師を確保することを目的としたものです。
学費や生活費の一部を支給することが一般的であり、制度の内容や条件は自治体ごとに異なるため、各地方自治体の医療支援制度についての詳細情報を調べることが重要です。
多くの場合、応募の際には、地域貢献の意欲や勤務の意向を示すことが求められます。
また、奨学金を受け取る代わりに、卒業後一定期間、その自治体内の病院や医療機関で勤務することが求められる場合があります。

国立大学医学部の学費を準備する方法

続いて、国立大学医学部の学費を準備する方法についてご紹介します。

早期からの貯蓄に取り組む

国立大学医学部の学費は私立に比べて安いものの、授業料や教材費、実習費など多額の費用がかかります。
早期から貯蓄を始めることで、将来的な経済的負担を軽減できます。
毎月少額でもコツコツ積み立てることで、学費や生活費の一部を賄う準備が整います。
また、教育費専用の貯蓄口座や学資保険を活用することで、効率的に資金を増やすことが可能です。
早めに計画を立てることで、不測の出費にも対応でき、学生生活を安心して送る土台を築くことができるでしょう。

学費ローンを活用する

国立大学医学部の学費負担を軽減する選択肢として、学費ローンの活用があります。
特にまとまった資金をすぐに用意できない場合、ローンを利用することで学びの機会を確保できます。
一部の学費ローンは金利が低く、返済計画も柔軟に組めるため、無理なく返済できる設計が可能です。
ただし、借入額や金利をしっかり確認し、卒業後の収入見込みに基づいて返済計画を立てることが重要です。
過剰な借入を避け、必要な範囲で利用すれば、経済的な負担を軽減しながら学業に専念できます。

アルバイトをする

国立大学医学部在学中にアルバイトをすることは、学費や生活費の一部を補う手段となります。
医療系アルバイトや家庭教師など、学業と関連性のある仕事を選べば、経験値を高めることも可能です。
ただし、医学部は学業が非常に忙しく、アルバイトが負担となる場合があります。
時間管理を徹底し、学業に支障が出ない範囲で働くことが大切です。
また、学業優先の環境で短時間でも効率よく稼げる仕事を選ぶことが望ましいです。
適切にバランスを取れば、経済面とスキル向上の両面でメリットを得られるでしょう。

まとめ

国立大学医学部の学費は、授業料が年間約54万円で、私立と比べて安価です。
しかし、教材費や実習費、生活費を含めると、6年間で約400〜500万円が必要とされます。
このため、早期からの計画的な貯蓄や学費ローンの活用が重要です。
さらに、アルバイトを通じた自己資金の補填も検討できますが、学業への影響を考慮した時間管理が不可欠です。
家族や奨学金制度も活用しつつ、長期的な視点で費用を準備することで、学業に専念しやすい環境を整えることができます。

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